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よく効くブレーキはないものか   

「よく効くブレーキはないものか」 2008/11/25

元は土佐の下級武士だった、三菱の創始者、岩崎弥太郎の借金の証文が残っている。
 内容はごく普通のものであるが、末尾のセンテンスが注目される。「・・・までに返済する。」としているのは当たり前だが、最後は「もし、このことに違えば、お笑いください」とだけしか書かれていないのである。
 お笑いくださいというのは、明治以前の借金証文の形であったとのことで、人に笑われることをよしとしない「恥の文化」が、金融秩序を維持していたと考えられる。
さて、米国発の金融危機と不況の嵐が、おさまりそうにない。
先週、米国で、民主党が金融安定化法の7,000億ドルの公的資金枠のうち150億ドル(約2兆4千億円)を窮地に陥っている自動車メーカーに貸し付けることを提案し、GM,フォード、クライスラーのビッグ3のトップがワシントンの議会公聴会に呼ばれた。
 ノドから手が出るほどこの資金が欲しい3人は、公聴会で「(破綻(はたん)すれば米経済に壊滅的な被害が及ぶ」と、名門企業のプライドも捨てて公的資金による援助を求めた。しかし、議会ではまず、3人ともが自家用ジェットでワシントン入りしたことを咎めて、「タキシード姿で(慈善用の)無料食堂に現れるようなもの」との批判が出た。
 筆者もこのテレビを見て、トップの感覚にあきれ返った。
 米国の金融に関しては、CDS(Credit Default Swap)というとんでもないデリバティブの大問題がある。この問題は、火災保険を例にすると分かりやすい。
 火災保険は、甲が乙(火災保険会社)に年間2万円を払って、火災の際に乙が2千万円の保証をなすという契約である。火災は滅多に起こらない、大火はさらに起こり難い。
同様に、CDSは、Aが有力会社Bに貸した金(Credit)2億円が、5年以内に返ってこない場合に、Cがこれを保障・弁済するといった契約である。Cは対価として年間20万円を受け取り、Bが破綻(Default)するとAに2億円を支払う義務が出てくる。
 これだけなら、いわゆる保証債務であり元本の額以上に金額が膨らむことはないのであるが、実はAは本当はBに金を貸してないといった「傍観者的な」契約=デリバティブも可能である。これがCDSであり、米国では(想定)元本がなんと6千兆円にも達する。
 なにか大きなブレーキを考えないと、世界が危うい。
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by chihirotp | 2008-11-25 10:57 | 随筆