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大型魚が危ない   

「大型魚が危ない」 2010/10/28

 恥ずかしながら、寿司が大好きである。
 けっして高級なネタでなくてよく、あじとかマグロの赤身とかで十分なのだが、酢の匂いが漂うと日本人に生まれたことを感謝したくなる。
 ところが、最近の新聞で、ぎょっとなる記事に出くわした。
 「2050年までにマグロなどの大型魚はほぼ全滅」という見出しである。
記事の元になる報告書は、名古屋で開かれたCOP10「生物多様性」に合わせて、UNEP=国連環境計画が発表したものであり、それによると、40年後の2050年までに、世界じゅうのほぼすべての海域で漁獲量が減少し、特にマグロなどの大型魚はほぼ全滅して、漁業の中心は体長が20センチ程度の小型の魚になると予測している。
 UNEPは世界中の海の生物多様性について調査しており、原因としては、魚の乱獲や気候変動による海面温度の上昇、それに陸地からの排水などによる海水の汚染をあげている。事務局は「海の環境がこのままのペースで悪化すると、漁業や観光などの分野が数兆ドルの規模で悪影響を受ける可能性がある。緊急な対応が必要だ」と警告している。
 若いひとは40年というとずいぶん先に思うだろうが、我々にとって40年前はついこのあいだというほど短い。
 これはもう、たんに環境問題ということではない。前にもこの欄で書いたが、今から50年前に33億人ほどだった地球上の人口が、’08年には68億人と倍増したことが根本にある。この人口では廃棄物や資源の状況から見て、すでに「地球の包容力」を4割近くもオーバーしており、気候変動や生物の多様性に深刻な影響を与えるという問題である。1972年にデニス・メドウズ氏などが、『成長の限界』とそれに続く3部作により指摘してきたのだが、近年、はっきりといろんな兆候がでてきた。
 私事で恐縮だが、筆者は、この春に女の子の初孫が生まれて、その顔を見ていると、これはなんとかしなければという気持ちが強くなってきた。
マグロの握りも知らない日本人ができるなんて悲しすぎると思う。
 微力ながら講演活動なども始めたのだが、ことが大きすぎて気だけ焦ってしまう。
 

 

by chihirotp | 2010-10-31 11:52 | 随筆

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